ランダムな仕掛け - コイン投げの売買シグナルは金持ちにしてくれるか?
まず全ての前提として、全く無作為にランダムなタイミングで取引を開始したらどの様な結果になるか、調べてみました。 よく、「テクニカル分析なんかで投資するより、コイン投げで決めた方がましだ」なんて云われていますが、実際のところどれほど優位性があるかも興味深いところです。 今回は、エントリ方式としてストップエントリと寄りつきエントリの2種類で検討しました。
買いルール
- 0~100までの乱数を発生させる
- 乱数が90以上の場合、当日の高値より1tick上に買い注文を置く(または寄りつきで買う)
- 数日後の寄りつきで手仕舞いする
売りルール
基本的に買いルールの反対
- 0~100までの乱数を発生させる
- 乱数が10以下の場合、当日の安値より1tick下に売り注文を置く(または寄りつきで売る)
- 数日後の寄りつきで手仕舞いする
結果 - 日本株式
テスト期間:2000/1/1 - 2010/11/1
寄りつきエントリ
日数 | 取引数 | 勝率 | E比率 | 期待値 |
---|---|---|---|---|
1 | 76560 | 47.3 | 1.000 | -0.003 |
3 | 60084 | 48.6 | 0.995 | -0.005 |
5 | 49301 | 48.8 | 0.999 | -0.003 |
10 | 34198 | 49.0 | 0.995 | -0.003 |
ストップエントリ
日数 | 取引数 | 勝率 | E比率 | 期待値 |
---|---|---|---|---|
1 | 31339 | 46.7 | 0.840 | 0.009 |
3 | 28523 | 47.2 | 0.920 | -0.018 |
5 | 25716 | 47.5 | 0.952 | -0.019 |
10 | 21002 | 47.9 | 0.959 | -0.050 |
当たり前すぎるけど貴重な結果
寄りつきエントリの完全にランダムなシステムでは保有日数のいずれにおいてもE比率が1.000付近に留まり、優位性が無い事が判りました。 これは至極まっとうな結果と云えますが、バックテストのシステムが正しく機能している事の証明としては貴重な結果です。
一方、前日の高値・安値更新で仕掛ける手法では、E比率こそ 1を下回っているものの、翌日の寄りつきで手仕舞いする場合、 期待値において、若干(と云っても誤差範囲ですが)の優位性があることが判りました。 前日の高値・安値更新時にストップでエントリして、翌日売るだけという単純すぎるシステムに優位性のかけらが見いだせた事は興味深い点と云えそうです。