投資の基礎 - 優位性とは何か?

本サイトは優位性のある取引手法を確立するために、主にテクニカル分析を中心とした取引手法についての分析を行っています。 ところで、ここで云っている「優位性」とは一体なんでしょうか?

投資である程度の成功を得るためには優位性が必要な事がわかったとしても、 そもそも優位性とは何かについて理解していない限り優位性のある取引を実際に行う事はできません。

公平なゲーム - 優位性理解の第一歩

優位性を理解するためにまず最初に知っておかなくてはならないことは、有利でもなく不利でもないゲームについてです。 一番簡単な事例として、ここではコイン投げのゲームを考えてみましょう。

コイン投げのゲーム

予めコインの裏・表どちらがでるかについて予想をし、コインを投げた結果と予想が当たった場合は掛け金の2倍がもらえ、 外れた場合は掛け金が没収されるというゲームを考えてみます。

コイン投げでは裏・表いずれも出る確率は50%なので、このゲームの一回あたりの平均損益は0円であることはすぐに理解できると思います。 つまり、いくらやっても儲からないゲームって事ですよね。

でも、沢山の人がこのゲームに参加すると、運が味方して利益を積み上げてゆく人も中には出てきます。 もちろん、逆に運から見放されて損失を出し続ける人もいるでしょう。

下のグラフは、沢山の参加者がいたと仮定してゲームを続けた場合に、どの程度の損益にある人達がいるかの分布を示しています。 赤い線が平均的な人。緑色の線が1標準偏差で、青色の線が2標準偏差です。

標準偏差とは、ばらつきの度合を示す尺度で、1標準偏差以内に収まっている割合が約68%、2標準偏差以内に収まっている割合が約95%になります。 つまり、このグラフで、青色の線をはみ出す利益・損失を出している人は、100人に5人くらいしかいないラッキーな人(or不運な人)と云う事です。

この様に、公平なゲームでは損をする人もいれば利益を出す人もいる一方、平均は常に損益無しの状態になります。

不公平なゲーム - カジノはどうやって利益を出すのか

次に、不公平なゲームを考えてみましょう。 ここでは仮にカジノのルーレットを考えてみます。

カジノのルーレット

1~36までと0, 00の計38個の数字のどれが当たるかを予め予想し、ルーレットで出た数値と一致したら掛け金が36倍になって配当され、 外れた場合は掛け金が没収されると云うゲームを考えてみます。

もちろん、実際のルーレットでは奇数・偶数や赤・黒、1~12・13~26・27~36など、色々な予想方法があるのですが、ここでは本質ではないので省略します。

ルーレットの最大の特徴は、0, 00と云う二つのいわゆる「親の目」というものが存在する事です。

親の目があることによって、配当される金額は36倍でもルーレットで出る個々の数字は1/38の確率になっています。 そして、これこそがカジノの胴元の優位性の源泉です。

下のグラフが、ルーレットを長く続けた場合の損益とその分布になります。

これをみて分かるとおりゲームを続ければ続けるほど、プレイヤーは平均的に損してゆきます。 そしてさらに重要な事は、90回ゲームを続ければゲーム参加者の68%(つまり1標準偏差)はトータルで損失になっており、 360回ゲームを続ければゲーム参加者のなんと95%(つまり2標準偏差)がトータルで損失になっているという事です!

この様に、不公平なゲームではゲームを続ければ続けるほど、最終的には誰もが損失になってゆくと云う事になります。

「最終的に」プラスにできる事が優位性

上記で見たように、ルーレットでは個々の結果は利益になったり損失になったりと様々です。 ですが、何回もルーレットを繰り返してゆくと少しずつプレイヤーは負けてゆき、胴元であるカジノ側には利益が積み上げられてゆきます。

投資でも同じ事が云えます。 ある投資手法を用いて取引を行った場合、個々の投資結果は利益がでたり損失になったりと様々な結果が返ってきますが、 何回も投資を繰り返していった場合、「最終的に」利益を積み上げてゆく事ができるか、が投資における優位性となります。